第7回 「幽霊作家の誤算」

1

「夫の携帯から連絡がありました。あと三十分もすれば戻るそうです」
 沙希は受話器を置いたあとキッチンへ戻っていった。夫が帰るまでに夕食の準備を済ませたいのだろう。ネギを刻みながらリビングの俺に向かって話しかけてくる。
「いつもお待たせしてすみません。小田切さんも夕食食べていかれるでしょう?」
「いや、おかまいなく」
「このあとなにか予定でもおありかしら」
「いえ、そういうわけではありませんが」
 事実この日はすべての仕事を終えてから会社を出てきている。この家の主人に用件さえ伝えればそのまままっすぐに帰るつもりだった。ただ明日の朝の重要な編集会議のことを考えると、今日は自宅でゆっくりと眠っておきたかった。この家の主人は大の酒好きで、担当編集者である俺を格好の酒飲み相手として認識しているふしがあって、夕食まで付き合ってしまうとその流れで夜遅くまで酒を付き合わされることになるのは目にみえていた。勤め人である俺と、勝手気ままな文筆業を生業としている自分との身分の違いというものをもう少し理解してもらいたいところだ。
 夕食の準備を進める沙希と他愛もない会話をしながら時間を潰していると、玄関のチャイムが鳴った。
「帰ってきたみたいね」
 エプロンで手を拭きながら沙希は夫を迎えるために玄関へと小走りに去っていった。
 ほどなくして、沙希をともない工藤洋一郎が入ってきた。でっぷりと太った工藤はハンカチでせわしなく額の汗を拭きながら、俺に目をとめると嫌らしい笑みを浮かべた。真冬だというのに、汗かきの工藤は未だに自前のタオル地のハンカチを手放すことができないでいる。
「待たせて悪かったな。今日はゆっくりしていくんだろ?」
 その言葉に俺はそっとため息をついた。

 工藤の書斎はちりひとつ落ちていないかと思われるくらい綺麗に整理整頓されていた。見た目からは想像もできないが相当几帳面な性格なのだ。いや、几帳面を通り越して神経質といったほうがいいかもしれない。
「相変わらず綺麗にされているんですね。私もいろんな方の担当になってきましたが、先生の書斎ほど几帳面に整頓されているお部屋は見たことがありません。作家の書斎というものはもっと乱雑にとり散らかっているものなんですが。たとえば創作メモの類があちこちに散乱していたりね」
 俺は皮肉を込めてそう言ってやった。なぜなら今俺の目の前でバスローブを着てブランデーを舐めているこの男は、小説家という社会的肩書きとは裏腹にいっさい自分で創作などしないからだ。ゆえに創作メモなど存在しようもない。
 俺の皮肉を工藤は鼻で笑った。
「なにを言い出すかと思えば。まあいい。君も仕事で疲れて気が立っているんだろう。私みたいにひと風呂浴びてきたらどうだ。夜は長い。そのあとゆっくりと話をしようじゃないか」
 工藤はそういって俺の鼻先にブランデーグラスを近づけてきた。とっさに顔をしかめてよける。
「けっこうです。用件さえ済ませればすぐに失礼しますから」
 この男と酒を酌み交わすなど、考えただけで虫唾が走る。
 俺は深呼吸をひとつしてからゆっくりといった。
「今後私は、先生に対して、いっさい作品の提供は行いません」 
「……、どういうことだ」
「私はいままで先生にいくつも作品を提供してきました。先生の著書の九割以上が単なる一編集者の私が書いたものだということを読者が知ったら、なんと思うでしょうね」
「貴様、自分がなにをいっているのか分かっているのか」
「もうすべておしまいにすることにしたんです。先生と私の関係を知っている人間は編集部にすらいない。今までのことを公表するつもりはありませんが、今後私は自分で書いた作品を、自分の名前で発表することにします。もうゴーストライターなんて立場はごめんだ」
「私がきみにどれだけの金を支払ってきたと思っているんだ」
「いただいたお金はいっさい手をつけていません。返せといわれれば明日にでもお返しします。私だってひとりの小説家としてデビューを飾りたいんです」
 俺の言葉に沈黙が訪れた。工藤は思案げにちびりちびりとブランデーを舐めていたが、やがてそれを一気に飲み干すと席を立った。俺の傍らを通り過ぎ、部屋の中央に立つと、自分の背中越しに語りかけてきた。
「きみのほうで公表しないというのなら、私のほうで公表しようじゃないか」
 一瞬、工藤がなにをいっているのかわからなかった。
「今きみは編集部のなかにわれわれの関係を知っている人間はいないといった。ということは君は自分の上司や同僚を長年騙し続けてきたことになる。騙されたと知った会社はどう思うかね。私はもちろんのこと、きみだって出版業界に身を置き続けることが難しくなるんじゃないかね。ましてや小説家デビューなんて一生かかったって無理だ。こういう業界はね、スキャンダラスな出来事にとかく敏感なんだよ」
 その言葉に俺の理性は一瞬にして吹き飛んだ。俺はさっきまで工藤が座っていた壁際のデスクの下に置いてあったダンベルをとっさに手にすると、部屋の中央でこちらに背を向けている工藤のもとに走り寄り、それを工藤の後頭部めがけて思い切り振り下ろした。鈍い感触が手に伝わってきて、工藤は糸の切れたマリオネットのようにその場にくず折れた。
「お前が、お前が悪いんだからな」
 肩で息をしながら、工藤の死体を見下ろす。
 そうするうちにだんだんと理性が戻ってくる。
 咄嗟の犯行とはいえ、このままでは俺が工藤を殺害したことが丸分かりである。家には工藤の妻の沙希もいるが、沙希を犯人に仕立て上げるには無理があるような気がした。ならばここは事故死に偽装するしかない。
 俺はまずスーツのポケットからハンカチを取り出し、ダンベルから俺の右手の指紋を拭き取った。その後ハンカチの上からダンベルを持ち上げ、倒れている工藤の右手の指紋を付けたあと遺体の後頭部付近に転がしておいた。工藤が運悪く足を滑らせて、たまたまそこに転がっていたダンベルに後頭部を打ち付けて死んだように見せかける計画だった。そのために死体を仰向けにし、傷の位置とダンベルの位置がぴたりと合致するように微調整を施した。念のため工藤の脈を取ってみるが、案の定まったく動いていなかった。立ち上がり遺体を見下ろす。どこからどう見ても不運な事故死にしか見えなかった。
 部屋のそこら中に残った俺の指紋をどうするか迷ったが、俺がこの部屋に来ていることは沙希も知っている。下手に指紋を消したりすると警察に逆に不審がられるおそれがあると思い、そのままにしておくことにした。
 あとは念のためにアリバイを作っておくにこしたことはない。工藤が死んだときに俺がこいつのそばにいなかったことが証明されれば、俺の身はよりいっそう安全というわけだ。
 俺はデスクの上に置いてある工藤の携帯電話を取り上げると、番号検索で俺の電話番号を呼び出した。あとは発信ボタンを押せば俺の携帯に電話がかかるという状態でいったん電話をたたみ、スーツの右ポケットに入れる。ちなみに左ポケットには俺自身の携帯が入れてある。
 俺はもう一度現場を見回し、なにかやり残したことがないかと考えた。大丈夫だ。内出血なのか、工藤は一滴も血を流さずに絶命した。なので俺のスーツに血がついているなんてこともない。
 すべての確認を終えたあと、俺は沙希のいるリビングへと降りていった。

「お話はうまくいきました?」
 リビングでサスペンスドラマを観ていた沙希が階段から降りてくる俺の姿を認めて声をかけてきた。
「少し考え事をしたいそうです。一時間ほどひとりになりたいから、それまで沙希さんの話し相手にでもなってやってくれと言われました」
「まあ、お客様を放っておいてひとりになりたいもなにもあったもんじゃないわ。私主人に言ってきます」
 腰を浮かしかけた沙希を俺は慌てて止める。
「待ってください。工藤先生は今少しご機嫌のほうが麗しくないんです。大事なビジネスの話ですから、これ以上機嫌を損ねられても困ります。ここはおとなしく待っていたほうが得策でしょう。ご迷惑でなければ少しお話しませんか。僕のほうもちょうど気分転換をしたいところだったんです」
 そういうことなら、と沙希は浮かしかけた腰を下ろした。
 俺と沙希はコーヒーを飲みながら雑談をした。わざと当たり障りのない馬鹿みたいな話題をふる。しばらくして沙希がコーヒーのおかわりを入れにキッチンへ立ったとき、俺はチャンスとばかりに行動した。沙希の背中がこちらに向いているのを確認してから、スーツの右ポケットに入れてあった工藤の携帯を取り出し、発信ボタンを押したあと、再び急いでそれをしまった。
 2、3秒後、リビングに軽やかな着信メロディが響き渡る。もちろんスーツの左ポケットに入っている俺の携帯の着信音だ。俺は自分の携帯を取り出した。着信画面に「工藤先生」と表示されているのを確かめたあと、コーヒーを持ってリビングへ入ってくる沙希にその画面を見せた。
「妙だな。先生からですよ。どうしてわざわざ携帯に連絡なんか。用事があるなら二階から叫べばいいのに」
 わざと臭い芝居をして電話に出る。沙希も不審そうに眉をしかめている。
「もしもし。先生、どうしたんですか。……え、なんですって! だ、大丈夫ですか。今すぐ行きます」
 俺は携帯電話相手に馬鹿らしい一人芝居を続けた。観客は沙希ひとりだが、ここでしくじってはすべてが水の泡だ。幸い学生時代に演劇サークルに所属していたので、演技力には多少の自信はあった。
 俺は携帯の電源を落とすと、目の前の沙希の肩をつかんでいった。
「落ち着いて聞いてください。工藤先生が書斎で足を滑らせて後頭部を強打されたみたいです」
「なんですって」
「とりあえず、様子を観に行きましょう!」
 俺と沙希は連れ立って二階へと駆け上がっていった。

「なんてことだ。沙希さん、早く救急車を!」
 沙希は倒れている工藤の姿を見たあと、ドアの前に立ち尽くしてしまった。彼女が正気を取り戻し部屋の中に入る前に、俺は急いで彼女を追い払うことにした。
 リビングに電話をかけに行っている沙希が戻ってくる前に、俺は急いで部屋の中に入り、ポケットから取り出した工藤の携帯電話を隅々までハンカチで拭いたあと、遺体の右手に握らせた。死後硬直がさして進んでおらず、簡単に握らせることができた。これで工藤の携帯の発信履歴と俺の携帯の着信履歴が一致するため、俺のアリバイは成立するはずだった。と同時に沙希のアリバイも成立することになる。おまけに被害者自身が足を滑らせたと言っていたと俺が証言するので、警察はまず間違いなく事故死だと判断するだろう。もしかしたら俺と沙希の共犯説を疑う者もいるかもしれないが、事実そういう関係にはないのだから、いずれ疑いは晴れるに違いない。
 そう、すべてはうまくいくはずだった。

2

「あの、少しお話をお聞かせ願いたいのですが」
 そう言ってその男は近づいてきた。工藤家のリビングで一通りの事情聴取を受けたあと、俺は沙希とともにリビングのソファに座っていた。
 近づいてきた男は、年のころは四十代の半ば、銀縁の眼鏡をかけていた。雨など降っていないのによれよれのレインコートを着ている。
「捜査一課の村瀬と申します」
 男は身分証を見せてくる。
「捜査一課? 捜査一課というと、たしか殺人事件を扱う部署ですよね」
「おや、よくご存知だ」
「事故ではないのですか」
「まだ断定はできないのですよ。しかしわずかでも不審な点がある以上、見過ごすわけにはいきません」
 その言葉に俺は猛烈に引っかかった。
「今、不審な点がある以上とおしゃいましたね」
「言いました」
「あるのですか?」
「はい?」
「不審な点」
「ええ、いくつか」
 俺は沙希と顔を見合わせた。この刑事はいったいなにが引っかかっているというのであろう。
「お聞かせしましょうか」
「ええ、ぜひ。聞かせてください」
「んー、あんまりしゃべると上司に怒られるんですよね。でもまあ、いずれわかることだからいいか。大サービスです、教えちゃいましょう。明らかに不審な点が二点あるんですよ」
 俺は固唾を呑んで、村瀬刑事の口元をみつめた。

3
「まずひとつは、ダンベルです」
「ダンベルがなにか? 僕も見ましたがどこにでもあるような小型のダンベルでしたよ」
「ええ、ダンベル自体には不審な点は見当たりませんでした。ただそのダンベルが転がっていた位置が問題でして」
 俺は急に心臓が跳ね上がるのを感じた。凶器のダンベルはちゃんと工藤の後頭部の真下に転がしておいたはずだ。いったいなにが問題なのだろう。
「さっき現場を一通り見せてもらいました。工藤さんは随分几帳面な方だったんですね。整理整頓が完璧に行き届いてました。物書きの先生の部屋なんて、もっと乱雑にいろんなものが散らかっていると思いましたけど。私の部屋なんかそこいらじゅうにビールの空き缶やら、インスタントラーメンを食べたあとのカップやらが散乱していますけどね」
「先生の部屋が片付いていたことになにか問題が?」
「はい。あそこまで綺麗に片付いているのに、どうしてダンベルだけ部屋の真ん中に置きっぱなしだったのでしょう。まさかあそこが定位置ということもないでしょうし」
 思わず声が出そうになったが、なんとか堪える。
「そ、それはあれじゃないかな。今まさにダンベルを使ってトレーニングをしようとしていたとか」
「風呂あがりにですか?」
「え?」
「工藤さん、バスローブを着て亡くなってたんですよ。せっかく風呂で汗を流したのに、また汗をかくようなことをするもんでしょうか」
 工藤は人並み以上に汗かきだ。確かに行動としては不自然かもしれない。
 俺は必死に言い募る。
「確かに不自然かもしれません。しかし人間とは気まぐれな生き物ですからね。それだけで事故を疑うのはどうかと思いますけど」
「確かに、それだけでは説得力に欠けますね。しかしもうひとつ気になることがあるんですよ」
「なんでしょうか」
「電話です」
「電話?」
「ええ。先ほどあなたこう証言なさったそうですね。工藤さん自ら助けを求める電話があなたのもとにかかってきたと」
「ええ、それは着信履歴を調べてもらってもわかることですし、ここにいる沙希さんもそう証言してくれるはずです」
 俺の言葉に沙希は大きく頷いた。
「なるほど。しかしですね、工藤先生はどうしてあなたの携帯に電話をしたのでしょう」
 なにを言っているのだ?
「おっしゃっている意味がよくわかりませんが」
「あなた、今日それ以外に工藤先生の携帯から電話がかかってきましたか?」
「いや、かかってきてませんが」
「ならば、これはやはりおかしいといわざるをえません」
「どこがおかしいというのです」
「いいですか、よく聞いてくださいよ。先ほど係りの者が奥さんに事情を伺ったときに、奥さんはこう答えています。主人が帰る三十分ほど前に、主人から電話があったと」
 それは俺も覚えていた。確かあと三十分もすれば帰ると工藤自身が言ったらしい。しかしそれがなんだというのだ。どこの家庭でも行われている単なる報告ではないか。
「ほらおかしいでしょう。どうして工藤先生はリダイヤルボタンを使わなかったのか」
「あ」
 今度は本当に声に出してしまった。
「今日一度も電話をかけていないあなたの電話番号を電話帳から呼び出すよりも、ほんの数時間前に家に電話をしているのだから、リダイヤル機能を使って家の電話にかけるほうが断然手間が省けるはずです。なのに工藤先生はそれをしなかった。ここに私は何者かの作為を感じるのですがね」
 思わず言葉に詰まってしまった。この村瀬という刑事、見かけの言動に騙されがちだが、意外と頭が切れるのかもしれない。しかし、まだそれだけでは他殺だと断定する理由にはならないはずだ。頭を強打して意識が朦朧となった工藤が、多少不自然な行動をとったとしても不思議はないと、言い逃れることができる。
 しかし村瀬刑事はさらに続けた。
「今鑑識が現場を詳しく調べています。その結果しだいではこの事件が単なる事故ではないと証明されるはずです」
 その言葉が終わらぬうちに、二階から紺色の制服を着た鑑識官らしき人物が降りてきて、村瀬刑事になにやらそっと耳打ちをした。
 それを聞いた村瀬刑事は、俺を指差してこう言った。
「あなたを殺人の容疑で逮捕します」
 そのあまりにも自信に満ちた断定的な口調に、一瞬戸惑う。
 しかしこれが村瀬刑事の狙いかもしれないのだ。うろたえたところを一気に自白に持ち込む作戦なのかもしれない。そう簡単にひっかかってたまるか。
「僕が犯人だとでも言いたげですね」
 俺は弱気なところを見せてはいけないと思い、あえて強気な態度に出ることにした。
 しかし村瀬刑事は相変わらず不敵な笑みを浮かべて、
「今の鑑識の報告で、工藤先生の死はれっきとした殺人事件であることがはっきりしました。そしてその犯行を成しえたのは、小田切さん、あなたしかいません」
「根拠を聞かせていただきましょうか」
 俺と村瀬刑事のやりとりを、沙希は戸惑った表情で見つめていた。
「いいでしょう。小田切さん、あなた工藤先生とご自分の携帯電話の両方を使って、あたかも工藤先生本人から着信があったかのような偽装工作をしましたね。それで自分のアリバイをでっちあげた。違いますか」
 完全に見抜かれている。しかしここは、あくまでも強気な姿勢を崩すべきではない。
「どうしてそう言いきれます?」
 しかし村瀬刑事は俺の問いに答えず、言葉を続けた。
「そして自分の指紋を完全に拭きとったあと、遺体の右手に握らせておいた」
「だからどうして、そう言いきれるんですか。工藤先生が僕に電話をかけなかったという証拠でもあるんですか」
「あります。……あなた、自分の指紋を消すために工藤先生の携帯電話を隅から隅まで拭きすぎたんですよ。その結果消してはいけない痕跡まで消してしまった」
 工藤自身の指紋のことを言っているのだろうか。しかし俺はそのあと工藤の右手に携帯電話を握らせた。その時点で工藤の指紋が付着したはずである。
「工藤先生の携帯から、本来なら検出されなければならないものが検出されませんでした」
「それは?」
「耳紋ですよ」
「ジモン?」
「そうです。人間の耳というのは、指紋とおなじくなにかに触れると、肉眼では見えませんが跡が残るものなんです。それは鑑識の調査で必ず検出される。ところが工藤先生の携帯からはその耳紋がいっさい検出されなかった。購入してから一度も使用していない携帯ならわかりますが、そうでない以上耳紋は必ず検出されるはずなんです。この時点であなたが嘘をついたことが明らかになりました。もしあなたが犯人でないというのならどうしてそのような嘘をついたのか、ひとつご説明願えませんか」
 俺はがっくりと肩を落とした。どうやら言い逃れできそうにもない。
 村瀬刑事はそんな俺に哀れみの目を向けて言った。
「日本の警察はこう見えて優秀なんですよ」


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